【コラム】人間力を問う時代

ロンドンのターミナル、キングス・クロス駅。下を向きながら階段を上る長いコートを着た男性の後姿がある。構内は少し暗いが、階下には色鮮やかな赤い風船が2個、2本の糸で結ばれ浮いている。ここに添えられている問題文はこうだ。

 

「キングス・クロス駅の写真です。あなたの感じるところを800字以内で述べなさい」

いかがでしょう?あなたならこの問いに対して、どのように答えますか?

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実はこれ、昨年春の順天堂大学医学部一般入試の小論文試験で実際に出題された問題なのです。

 

「この素材で難なく800字を埋めることが可能か。難しいであろう。そこで、写真をよく見つめてみる。よく観察すると、男性のコートの右手側がやや上がっているように見える。推測するに、この男性は携帯かスマホをいじりながら駅構内の階段を上っているのである。どこかの心ある人が心の安らぎにと階段の手すりに結んでいった赤い風船の美しさに気づくことなく、階段を上っていったかもしれない。すると、もうひとつの小論文の方向性として、こんな解を導ける。」

 

小林公夫氏(一橋大学博士・作家)は、こう語ります。そして、次のような結論に持ち込む流れで書くのが、本問のやや高度なアプローチだといいます。

 

「我々人間は、急速に変化する高度な文明の渦に飲み込まれている。日々刻々と更新される新しい情報の入手に追われ、身の回りの小さな変化に気がつく暇がない。しかし、これでは通学途中、駅に向かう道すがらで道端に咲いた1輪の花の美しさにも気づくことはない。我々は、目先の情報を獲得することに奔走し、心のゆとりや、さらに言うならば本来人間に備わっているべき人間性のようなものを喪失しつつあるのではないか。」

 

巷に溢れる社会現象に対して距離を置いて見つめられること、鋭い観察眼・推理力を働かせること、これらは医学部のみに限らず今後の大学入試において学生に問われる21世紀型スキルの内に含まれるのではないでしょうか。

“単に択一式の勉強ができるだけでは通りにくい、まさに学生の「人間力」を問う方向に、全体がシフトしてきているのだ。”という小林氏の言葉。

 

2020年から大学入試が大きく変わると言われる中、問題を解くための小手先のテクニックや知識を暗記するではなく、世界全体の問題から人間の存在意義まで含めてどうとらえるかを深く考え抜ける「人間力」が大切になるのではないかと感じています。

 

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「サス学」マイン http://susgak.com/mine (執筆:岸)

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※東洋経済オンライン 2015年4月16日 「コートの男」で小論文…何を書けば受かる?

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