【コラム】「終身の計は人を樹うるに如くはなし」

「一年の計は穀を樹うるに如くはなし、十年の計は木を樹うるに如くはなし、終身の計は人を樹うるに如くはなし」(出典:「管子」)

 

新年度が始まりました。新たな意欲と希望に胸をふくらませた新社会人や新入生の姿を見ることができるこの季節。桜の開花と相まってとても晴れやかな気持ちにさせてくれます。

 

冒頭の言葉は中国の古典「管子」に収められているもので、「穀物を育てるのは1年の計画であり、木を育てるのは10年の計画である。しかし、人を育てて成果を見るには一生をかけた計画が必要」という意味があるそうです。

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私事で恐縮ですが、今年度から高校生を相手に「サス学」を行うこととなりました。小・中学の間サス学のやりとりをしてきた子どもたちが自ら希望してくれたもの。嬉しく思うと共に「管子」の言葉から、将来の可能性を大きく持ちつつ多感な時期にもある若者たちを育てることのやりがいと責任の重さを感じます。そんな中、ある高校が持つエピソードと1999年から取り組んできた素晴らしい取組みを思い出しました。

 

“ある時、堀川高校を受験した生徒の論文に目が釘づけになった。学業の成績は芳しくなかったが、論文だけは満点だった。職員の間でこの生徒を合格させるかどうか大議論になったが、最終的には合格とした。

 

この生徒は天文が大好きで、電波望遠鏡を使って宇宙の始まりを解明するのが夢だった。偏差値的には難関大学に入学するのは難しかったが、自分が将来やりたい仕事をするためにはとの思いから、苦手な科目の勉強にも意欲的に取り組んだ。結果的に東北大学に合格し、その後、東京大学大学院を経て、念願かなって電波望遠鏡のある国立天文台に就職できた。“

(引用元:WEDGE Infinity「WEDGE REPORT2015年7月7日」)

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この高校は、『堀川の奇跡』と全国の教育関係者にはよく知られている京都市立堀川高校のこと。2004年、国公立大学の現役合格者が3年前から比べて20倍以上となる135人(32人が京都大学)を出し、以来注目を浴びている学校。

 

文科省からSGH国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高等学校)やSSH(理数系教育の研究・実践を重点的に行う高等学校)の指定を受けています。校内ではアクティブラーニング型の授業や課題探究型の学習に積極的な取り組みが見られ、毎年全国から多くの教育関係者が視察に訪れているそう。

 

アクティブラーニングでは、例えばニュートンは彼以前の力学から万有引力の法則をなぜ導けたのかを考えさせる。生徒はそれぞれ自分が考えたことを発表し、他の生徒からの質問に応答できるようにする。また課題探究型の学習の目的は学び方を学ぶことにあるとしており、個人毎に研究の計画書をしっかりと立てさせ、学びのプロセスの中で経験したことを大事にさせている。

 

このような学びの繰り返しを通して、コミュニケーションや分析、批判的な思考などの力を身につけ、その総合力が大学受験にも役立っているのだとか。こうした取り組みは「サス学」でも小中学生を対象に試行錯誤しながら進めているものですが、20年近くも前から実践し、素晴らしい実績を出していることに感心させられます。

 

このような良き成功例を参考にしつつ、私も「サス学」を通して子どもたちがこうした力を多く養っていけるように努めていきます。

(執筆者: 岸 和幸)

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