【コラム】「AIが進化する時代に大切な力」

『いままでは「正解」がある時代でした。しかし、その時代は終わりました。「正解」がある時代から脱却し、「わからない」ことを恥ずかしがらず受け入れることが、新しい時代の生き方なのです。』(橋本治)

 

こんにちは、森のクマさんです。評論家・随筆家として活躍する一方、古典文学の現代語訳や二次創作にも取り組むなど幅広い活動をした作家の橋本治さんが、1月に亡くなりました。冒頭に紹介した言葉以外にも橋本さんはこんなことを語っています。

 

 

 

『いまの若い人は情報を仕入れることに興味があるみたいだけど、私は情報というものを仕入れないんですよ。専門的な情報を集めてものを見るというのは、「何かをわかるためのカギがある」と考えているから出てくる行動でしょう?

 

でも、私はそういうカギを持たないままで、セーターの毛糸をほどいて玉をつくっていくみたいなことをしているんです。絡まったものごとをほどくことなら誰にでもできると思っているので、その絡まりをほどくことで「何が問題になっているのか」を形にすることから考えていきます。』

 

”子曰く、学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し” すなわち、人に知識を教わるだけで、それを自分で思考しなければ、物事の道理を理解できない。また、自分で思考するだけで、人に知識を教わらなければ、独断と偏見に陥って危険である。およそ2500年も前に孔子が述べた言葉と、現代を生きた橋本さんの言葉。根底にあるのは、学びの本質だと感じられます。

 

 

さてインターネットであらゆる情報が手に入り、AI(人工知能)やロボットが人々の仕事を代わりに行いつつある現在、工場やスーパー、コンビニ、タクシーなどで自動化が進んでいるのを見かけます。今までの社会で「優秀」とされてきた人が、これからも必要とされ続けるかはわからないといわれる時代。AIの専門家によれば、細かい知識ではなく大きな流れを抽象化して記憶し、目の前の現実にうまく適応する力を磨くことがこれからは大事だといいます。

 

2020年からの大学入試改革に伴い、「非認知能力」という言葉をよく聞くようになりました。IQ(知能指数)テストや学力テストで測れる「認知能力」に対して、粘り強さ、協調性、やり抜く力、自制心、感謝する力という数値では一見表しにくいものの総称です。これからの未来を子どもたちが生きていく上で、大切な資質として注目されている「非認知能力」。世界トップクラスのAI研究者である松尾豊先生はこんなアドバイスをしています。

 

『AIに与える「目的」の部分をこれからの人間は深く考えていくことになるでしょう。AIが進歩していく中、異なるバックグラウンドを持つ人たちが連携して、新たなものを生み出す必要があります。そして、どんなに人工知能が進化しても、人と人との関係で社会のいろいろな物事が決まっていくことには変わりありません。だから人とたくさん話をして、たくさん遊んで、人間力を鍛えましょう。』

 

話をする、遊ぶことから人間として学べることはたくさんあります。社会がどんどん変化していく中で、多様な価値観を持った人たちと人間関係を築く力を持つことは大切。「わからない」ことを恥ずかしがらず受け入れ、目の前の現実にうまく適応できる「臨機応変な対応力」を強くしながら、自分も社会もより豊かになるようにしていきましょう。

(執筆者: 岸 和幸) 

 

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